南極料理人

未見の作品としてレンタル。
ひょんな事から南極越冬隊の料理人となる事になった海上保安官の話。実在の方のエッセイが原作だそうで。
主演は堺雅人。で、脇にいるのが生瀬勝久にきたろうに豊原功補・・・と濃い他の越冬隊員に喰われるんじゃないかと思ったけど、堺雅人は相変わらずの独特な存在感。
そんな個性的な面々が繰り広げる細かい騒動や事柄で物語は紡がれるのだけど、タイトルにある通り軸となるのは"食"。南極の更に高地でペンギンすらも住まない土地で、本業は勿論の事として様々な楽しみを見つけて過ごすのだが、食べる事の比重というのは大きいのだろう、と。さらに、生存の為に食べるだけでなく、楽しみとして食べる様子がふんだんに描かれていた。誕生祝いの肉とか、伊勢海老なのに勢いで作らされたエビフライ等々・・・。
細かい騒動と言っても、そこは脚本の見事なところで、映画としてストンと落とし所のある展開は見事。盗み食いで尽きたラーメンが、工夫の産物として出てきて、そしてそれを食べるのが立派なオーロラより優先されるというのが可笑しくあり、妙に響く。
南極という極限の状況を使って、食を通じて人間のドラマを描いた良作だったかと。
しかし、この映画ビデオ撮影だろうけど、異常なまでの長回しの連続には感心するばかり。撮影と監督と役者の手腕も存分に堪能できた。
南極料理人 [DVD]