フォーラム1、評価★★★★☆
エイリアン侵略もの…とは聞いていたけど、冒頭から女を口説く為にコンビニへ盗みに入る主人公…という事で呆気にとられる。まぁ、それで主人公のキャラクターと、海軍へ入るきっかけを描いてはいるのだけど。
そんな感じで始まったのだが、RIMPACに関する式典や、参加国間での親睦のサッカー大会なんかを描いていて、なかなか本筋には入らない。が、ここで色々と丁寧に描いている事で、後の流れもスムーズになるという見事さ。当然、RIMPACに参加する艦艇の列とかの壮大さも実にワクワクするもので。
そして、エイリアン襲来!となったところでは、その大艦隊が立ち向かうのではなく、不明な物体を臨検に向かった海軍2隻と海自1隻という3隻のイージス艦のみで、他はハワイを取り囲んで作られたバリア領域の外でてが出せないという状況を作り出していて、映画の緊張感は盛り上がる一方。
この限られた空間と戦力で不明な敵と戦うというものが、原典となったボードゲームからの上手い引用だと思うのだが、ここでの浅野忠信演じるみょうこう艦長の永田の賢明さが光るもので。それに続けて主人公たるアレックスの大胆な策を見せるんだから、盛り上がると言うもの。そんな策を講じても最後のイージス艦は沈み、次に使うのが…という展開は熱すぎる。タイトルや冒頭の演出もなるほどと思うわけで。
そんな海の戦いの一方で、アレックスの恋人サムと傷病軍人であるミックの、島内でエイリアンが本星との通信を阻止するという話も展開されるのだが、ここでミックの活躍やその姿を描く事でこの映画の主題も生きているんだよね、と。
米軍の皆さんご苦労様…的な内容も無くは無いけど、艦船を主体とした戦争映画で、丁寧な脚本となっていたので実に満足な映画。逆に事前の知識が無い方がドキドキ感を持って楽しめるのかもしれないな、と。でも、浅野忠信等の日本語セリフのみ音量が落ちるのはなんとかして欲しかったかも。<以下核心メモ>
この映画に出てくるエイリアン、スタイルとしては人間に近いものだけど、爬虫類に似た四肢や瞳なのがポイント。この爬虫類の様な瞳のせいで、太陽光に弱いという設定があるのだけど、「こいつらは地球に住むつもりなのだろうか?」という疑問が無いわけではない。まぁ、地球から発信されてきた通信から存在を知り、調査に来た先遣隊となれば判るけどね。そうは言っても、武装の少ない状態で、日の出を生かしてエイリアン船のコクピットのガラスをライフルによる精密射撃で割って日光を浴びせ…という素晴らしいシーンがあったから疑問は帳消しだけどw
3隻のイージス艦が沈んで悲嘆にくれるところでアレックスが武器として使うのが、展示されていた戦艦ミズーリ!!しかも、「アナログで動かすまで半年かかる」と機関士が嘆いたところに出てくるのが、冒頭の式典にも参加していた退役軍人たち…その1人がアレックスに握手で応える熱さといったらもう!退役軍人と駆逐艦勤務者による出航準備は色々あるけど、蒸気タービンに火が入るシーンでのテンションの上がり方には、もう涙するしかないわけで。戦闘もアンカーを使って急旋回しつつの射撃とか戦艦らしからぬ動きもあるが、基本的には過去の遺物となったとはいえ戦艦の威力を見せ付けるものなので、実に楽しい。
詳しい人が観れば色々気になる点もあるだろうが、とにかく映画的な仕掛けが満載なので実に満足な一本…なんだけど、エンドロール後に序盤で分かれて落ちた部品から生き延びていたエイリアンがまだ…という続編も示唆するような蛇足があったので、星は半分減だなぁ、と。の