ダークナイト ライジング

テアトル8、評価★★★★☆
クリストファー・ノーラン版のバットマン最終作で最終章。
正直、「バットマンの映画」と言ってしまうのには躊躇もあるのだが。ゴッサムシティがニューヨークを中心としたらしいロケで構成されており、核兵器の登場に大統領も関わるわ、やっぱりゴードン率いるゴッサム市警が大きな活躍をするわという感じ。
それでも、前作2本の映画の内容を丁寧に踏まえ、その2本以上にブルース・ウェイン=バットマンの物語になっていたと思えるもの。8年の隠遁は流石に長いと思えるが、終盤でのメカもふんだんに魅せたアクションは勿論の事、クライマックスで子供が「バットマンだ!」と快哉を上げるだけで十分なヒーロー映画になっていたのではないかと。
前作に続くゴードンやアルフレッドは勿論の事、ゴードンの下で活躍するジョン・ブレイク刑事や、敵として圧倒的な存在感と強さを見せるベインの魅力で165分という長めの尺もさほど気にならずにグイグイ引っ張られる様な。そして、アン・ハサウェイ演じるセリーナ・カイルの美しさと華麗さは物語にも映像にも華を添えた感じで。
前2作が少し悪趣味な雰囲気が残る感じで面白いけども、さほど好きでは無い…というものが、この映画を観て、一気にこのシリーズが好きになった気がする。そんな感じの一本。<以下核心メモ>
リーアム・ニーソン演ずるラーズ・アル・グールが登場するとは聞いていたけど、やはり回想と幻での登場。「影の同盟」でベインを破門したというくだりもあり、彼がベインの父親であり、牢獄である"奈落"から唯一逃げ出したのはベイン…と重いきや、ラーズの子供であり奈落から逃げ出したのはウェインの協力者で社の役員でもあったミランダ・テイトという展開。父の成せなかった事を成す為というのだが、同監督の「インセプション」に続いてマリオン・コティヤールが陰のある女性を演じるという…。確かに、子供が奈落から逃げ出す際にそれを手助けする為に戦っている大男の姿はあったが。
ベインといえば、原作ではバットマンの背骨を折ったとかあるらしいが、劇中でもバットマンを抱えて背骨にダメージを与える演出が。それを、奈落にいた医師が無理矢理伸ばす事で治療する演出あたりはノーランらしいというかw
劇中でベイン達の切り札として出ていたのが、核融合炉を改造した核兵器。これが、リモコンだけではなく反応による時限要素も絡んでいて物語は進む。正直、数ヶ月スパンの物語となるのは違和感もあるのだが、クライマックスでの演出にも繋がるもので。時間が無く飛行メカのバットで沖合いに捨てる事に。「まぁ、ブルース・ウェインの事だから無事に脱出するだろ」と思っていたら、劇中何度か繰り返される「(バットは)自動操縦を除いて問題無い」という会話を受けて、ブルース・ウェインの葬式のシーンへ。そのやりきれなさに、ブレイク刑事はバッジを捨てて職を辞す…という流れに。
…と、思ったら自動操縦はブルースによって半年前に完全になっており、彼はセリーナと共に旅をしており、それをアルフレッドが遠くから見るという劇中の会話にもあったけど、正にそのままの光景が。
そして、ウェイン邸は"取り壊しも改築もしない条件で"孤児院として使われ、その地下に眠るバットケイブにはウェインに導かれた(であろう)ブレイクが滝から進入し、ケイブの機能が動いたところで映画は終る。のだが、ブレイクの本名が"ロビン"である事が判るシーンがその直前にあればニヤニヤするしかないじゃないの!(続編を望んでいる訳ではないが)