ホワイトハウス・ダウン

テアトル7、評価★★★★
ホワイトハウスを襲撃したテロリストを、その場に居合わせた男が立ち向かう…と、「ダイ・ハード」を彷彿とさせるもの。一緒に来た娘も巻き込まれるという事で家族が巻き込まれるのも同じ感じだけど、舞台がホワイトハウスであり大統領も共に行動するという所は違うか。
アメリカ大統領の居所を襲撃するという事で、その目的はあくまでも想像通りの範囲だけど、そこに至るまでの大きな力とか、大統領の成した事に関するドラマなんかが含まれるので緊張感を持って観る事が出来た。勢いだけの印象が強いローランド・エメリッヒ監督にしては、アメリカの今を考えさせる様な内容に仕上がっていたのは興味深い。
まぁ、細かい事は言ってもエメリッヒ監督らしくスピーディで時には大掛かりなアクションが展開され、それが面白いのは確か。次々とダメージを受けるホワイトハウスの様子に、どうやって撮ったのだろうと考えながらも。
それでも、あざといまでの演出でも涙が出てくる様なシーンがあったのだから、キャラクターとドラマを存分に堪能できたのは間違いない。事件の終わりがちょっと間延びした感はあったけど、気持ちいいラストシーンで万事オーケイと言ったところか。
期待に違わぬ面白さに素直に満足した1本という事で。<以下核心メモ>
テロリストは金を要求したけど、勿論最終目的は大統領の持つ核ミサイルの発射権限。そこには、派兵はしたけど以後は平和路線に切り替えたという大統領に、その派兵で息子を失ったシークレットサービス長官であったウォーカーの復讐が根底に。更には、主人公のジョンにも近く、事態の推移の中で大きな役割も果たしたイーライ議長も黒幕であったという。代理の大統領として就いた直後に最終手段として空爆を指示し、状況が終了したにも関わらず空爆の中止命令を出さなかったのは、徹底的な証拠隠滅という理由もあったわけで。
イーライがウォーカーへ核ミサイルの発射コードを送信したのが、ポケベルという古い機械なのが面白い。「アメリカではまだポケベルのサービスがあるの?」という疑問はあるけど、ジョンや娘のエミリーがスマートフォンを使っているのと対比させると面白い。エミリーは、更にYouTubeにアップする為の大統領のインタビューをしただけでなく、目の前で見かけたテロリストを撮影した動画をアップするという、正に今の時代らしい使い方をするのだから。
ホワイトハウスへの空爆の指示からF22の到着までは映画らしくリミットの8分以上あったと思うけど、ジョンの活躍で核ミサイルの発射を阻止したのを、F22へ知らせるためにエミリーがボロボロになった執務室から旗を持ち出して振るシーンには涙が出た。先に挙げた理由のせいで空爆の中止命令が出ないところ、それを見たパイロットが独自の判断で空爆を中止するという流れも実にいい。