ルパン三世

テアトル6、評価★★☆
実写版「ルパン三世」。監督が北村龍平という事で期待と不安が入り混じるものであったけど、不安のほうが大きく出てしまった雰囲気。妙にスタイリッシュにしようという雰囲気や衣装、必要以上にコンタクトしての肉体アクションや、遠慮の無い銃撃戦という感じで、アクション漫画を実写化した際の悪いパターンが目に付くものであった。登場するオリジナルのデジタル製品のダサさも含めて。せめて、ハマークラスのクルマにフィアット500が体当たりされたら、CG処理でもいいから車体に傷は付けようよ。
内容としては、実写版としてルパン一家の成り立ちを描いた様なもの。ルパン,次元,不二子が「ザ・ワークス」と呼ばれる犯罪集団に属している事から始まり、その仲間との対立や共闘が軸となっており、正直なところルパン一家という存在に意味が感じられない。まぁ、一応作ってる側としてはそれも狙っているのだろうけど、色々とモヤモヤする仕掛けなのね。
それでも、ルパン一家の俳優さん達は素晴らしかった。ルパンと次元の上質すぎる衣装は気になるとしても、4人並んだ雰囲気の素晴らしさに、このキャスティングだけは間違い無いチョイスだったのだろうと。特に小栗旬のルパンは、アニメの雰囲気を取り込みつつもオリジナリティがあるルパンとして存在していた。そして、予告で気になっていた浅野忠信の銭形は全く問題無し。こちらもオリジナリティのある魅力を出していた。まぁ、演出故にデジタルデバイスを器用に使っているのにはかなりの違和感であったのだが。あと、素晴らしいのはルパンと次元の喫煙率の高さかな。
時折、実写ならではの面白いビジュアルがあったけど、原作やアニメへのリスペクトがあるのか無いのか曖昧な映画だった。途中までは正直なところ見ているのが苦痛だったもの。<以下核心メモ>
ザ・ワークス」という犯罪組織に属し、そのリーダーであるドーソンはアルセーヌ・ルパンに教えを受けたという設定で始まる物語。その一員であるマイケルがドーソンを殺して宝を奪っていくのだが、共通の敵であるプラムックを倒すために手を組むという流れ。クライマックスはプラムックの要塞に侵入するのだが、2人でないと開けられない金庫の為に侵入するのがルパンとマイケル。そして、同じ組織のメンバーであり、要塞のセキュリティを破る為に活躍するメカニックのピエール…という事で、ルパン一家が成立する前を描いているとはいえ、チームの魅力が全く描かれない不思議。むしろ「ミッション・インポッシブル」に近いというか。かといって、死んだマイケルは仕方が無いとしても、ピエールがラストの一家勢揃いで一緒にいないというチグハグさがあって、落ち着かない。
冒頭のシークエンスで、ルパンが最初の金メダルを盗むのに使った少量でも威力のある新型火薬、大型金庫に閉じ込められ酸欠で死にそうになったた際に脱出の為に使用するのだが、ちょっと準備が良すぎる気はしたけどまぁいいか。そこで、中にあった古い金庫にルパンを押し込めて助けたマイケルは死亡。でも、ここで死んでいないと後々面倒だしな。途中で、不二子がマイケルの妹で中国人とのハーフという話が出てきて、無駄な設定が出てきたと思ったが、それはあくまでも宝を手に入れる為の嘘という事でちゃんと決着。
要塞に踏み込んだ時の身代わり人形に、モンキーパンチさんの絵のルパンの顔があったのは流石に白けた。要塞のシステムにウィルスを仕込んだ時は、実写の雰囲気を絵にしたものを使っていたのにね。あと、カリ城でのルパンマークやら、最後の首飾りのニセモノにあったビックリ箱の仕掛けがアニメからのモチーフであったけど、使い方が半端で居心地が悪いのね。