進撃の巨人

テアトル6、評価★★★★
実写版の「進撃の巨人」。
だいぶ設定が変わっているとは聞いてはいたけど、巨人の恐ろしさや嫌悪感が前面に描かれており、しっかりと作品らしさを醸し出していた。その虚ろな表情で人間を鷲掴みにして食らう嫌悪感や凄惨さは思った以上。「ガメラ 小さき勇者たち」で、登場怪獣が人間を食らう描写があってなかなかにゾクゾクするものではあったけど、やはり人型のものが人間を食らうインパクトは凄い。アニメでも嫌になるくらいの描写ではあったけど、実写でのインパクトはまた違うもので。
そんな巨人の映像で怪獣映画的な雰囲気を楽しみにはしていたのだけど、同時に戦争映画的な雰囲気が強い事に面白いと感じたり。序盤の巨人の襲来に逃げ惑う群集の描き方や、後半の壁外への行軍の緊張感からやられっぷり等で、久しぶりに感動させる要素を削ぎ落とした戦争ものを観たという印象に至ったもので。戦闘ではやはり立体機動装置の描き方が面白いもので、そのスピード感はアニメであったものを実写に移した面白さがあるものだけど、更に実写であるからこその、そのギミックは良いものであった。
設定が変わってキャラの配置が変わっても、元からの流れとして必要なものは描いていた気がする。アクションとかは後編で更に増えそうなので、どうやって話を締めくくるのかという事を楽しみに待ちたい。<以下核心メモ>
キャラの配置で、エレンがミカサを追いかける対象で、それ故に巨人と戦う力を身につけようとするのが最初に感じた違い。巨人の襲来時に死んだと思ったミカサが生きていて、強力な戦士になっていた・・・というのは面白い流れ。その事も踏まえて、リヴァイの変わりにたシキシマを登場させて、空白の2年にミカサと一緒にいたとしたのは、エレンのミカサへの想いも含めて、面白い変更であったと思う。まぁ、そのままリヴァイを出しても短い尺の中では、個性的な隊のメンバー等の要素は描けないものであるし。
予告でもチラリとはあったけど、クライマックスはエレンが巨人化するというもの。そのシーンにて、アルミンが巨人に飲み込まれかけるところを、脚を食われたエレンが助けるという印象的なシーンは再現されていたのは嬉しいところ。巨人化した設定がどうなっているかは気になるところではあるけど、その辺りは後編を待つ事で回答を待ちたい。今回の映画では、原作での魅力となっているミステリー的な設定は排している感じだけど、さてどうなるか。