キングスマン

フォーラム6、評価★★★★
スパイものとして楽しみにしてみた映画。高級なスーツ姿のイメージが印象的であったけど、数々のスパイ道具やイギリスを舞台にした事で、ショーン・コネリーロジャー・ムーアの時代の007を彷彿させるもので。そういえば、エンドクレジットを見ていたら撮影にイギリスのパインウッドスタジオを使っていたね。そんなクラシカルなスパイ映画の雰囲気と併せて、実に現代的なスピード感のあるアクションと痛そうなバイオレンスが融合された映画になっていた。「キック・アス」の監督であるマシュー・ボーンが手がけた事を考えると、納得の仕上がり。
スパイ組織のキングスマンと、サミュエル・L・ジャクソンが演じる悪党であるリッチモンドとの対決が軸となるのだけど、完全にチームとしてのエージェントものというよりは、新しいエージェントとなるエグジーの成長と活躍を描いた物語という側面が大きかった様な気がした。そういう意味では、シンプルなスパイものとは違うというか。ただ、そういう違いがあるからこそ、クラシカルなスパイ映画の雰囲気というものが大事だったのではないかと。
全編アクションという程のイメージではなかったけど、そのスタイルは実にカッコいい。バイオレンスを踏まえてのカッコよさというものと、スーツを着こなしたうえでのカッコよさが光っているというか。まぁ、バイオレンスな要素は、あそこまで行ってしまうと、逆に笑いが出てしまうものなんだ・・・と感じるくらいで。
ちょっと展開としては意外だったけど、久しぶりに派手すぎるスパイ映画を観たという満足感は確かにあったと思える。<以下核心メモ>
冒頭で17年前のエージェントの死が描かれ、現代でも事件の発端でエージェントが真っ二つにされて死ぬシーンが描かれる映画。その補充の為に新メンバーを選抜するという展開になるのだが、エグジーだけでなく他の選抜メンバーも含めてテストを行う様子が多かった。その試験の最後で、エグジーは選抜試験中に一緒にいた犬を撃てという指示に従わずに落とされるのだが。
リッチモンドがたくらんだのは、無料のSIMカードをばらまき、それを用いて人間の攻撃衝動を高めて殺し合いをさせ人類を減らそうという壮大なもの。その陰謀を探る過程で、コリン・ファースが演じるハリーが命を落とすのだけど、てっきりエグジーとチームを組んでクライマックスに・・・という流れだと思っていたので、驚くばかり。
そして、キングスマンのリーダーとも言えるアーサーもリッチモンドと手を組んでいて、陰謀を阻止できるのは若いメンバーと教官だけという流れでクライマックスへ。しかし、スパイもののリーダーというか仲間が信頼できないという展開は、近年の映画で多すぎるから「またか」と思ってしまったのだが。
SIMカードを起動させるのを止める為に、中継衛星の爆破とリッチモンドを阻止する両面作戦の展開となるのだが、エグジーが大勢の敵に囲まれた際に思いついた逆転の策が、生き残る為に集められた富豪等に埋め込まれたSIMの効果をキャンセルするインプラントに仕組まれた破裂の仕掛けを使う事。そのインプラントが首の後に埋め込まれているのだけど、そこで爆発するから首が吹き飛ぶわけで。そして、信号で一斉に爆発するから多くの人の頭がキノコ雲を上げながらポンポンと音をたてて吹き飛ぶという実に悪趣味な映像が展開されるわけで。しかし、それがテンポよく描かれるから恐怖や嫌悪を通り越して笑いしか出てこなくなるというか。ポスタービジュアルにも悪趣味な色の雲がバックに描かれていたけど、その様子を示していたものだったとはw
ガゼルとリッチモンドを倒したエグジー、囚われていた某国の王女との楽しみの時間になるのだけど、その表現の直接さはこの映画らしいなぁ、と思ったりで。