ジョン・ウィック

フォーラム1、評価★★★★
キアヌ・リーブス主演で「マトリックス」のスタッフが作ったという触れ込みの映画であったが、それよりも"ガン・フー"と呼ばれるガンアクションを目当てで行ったもの。
妻の形見の子犬を殺された怒りで・・・という筋は聞いていたけど、思ったよりもアクションだけで通す作品では無かった。ジョン・ウィックというキャラクター設定や、以前は所属しながらも敵となるニューヨークのロシアンマフィアを初めとする裏社会が描かれる事で少し複雑な要素もあった。まぁ、その複雑な要素がやや冗長的な展開にも見えてしまったのだけど。
その裏社会の設定で面白かったのが、その中で殺しをする事を禁じる掟のあるホテルの存在や、裏社会で流通する金貨の存在。特に金貨は、それを使う先に舞台やキャラクターが広がる感じが実に面白い。そして、ホテルではフロント係の存在と、ジョンとのやりとりがこの映画の中で実にいいユーモアを醸し出している。
肝心のガンアクションはどうだったかというと、これが実に満足できるもの。キアヌ自身がスタントの殆どを行ったらしいけど、銃撃と体術組み合わせは実にリズミカルでカッコいい。格闘的要素もあるから、接近した距離での発砲になるのだけど、その辺りも実にリズミカルで。そして、多種多様な銃器が登場していたのもポイント。あと、物語の導入にも関わる事であるけど、魅力的なクルマも多く登場していたのが印象的。
ちょっと想像していたイメージとはズレがあったけど、なんだかんだで楽しめた一本であった。<以下核心メモ>
ジョンの親友として登場するマーカス、ジョン殺害の依頼をあっさりと受けて、演ずるのもウィレム・デフォーだからラスボスに近いキャラなのか・・・と思ったら、ピンチに陥るジョンを時折助けるナイスガイであった。近接戦闘のジョンに対し、凄腕のスナイパーであるマーカスという対比も面白い。そして、ヴィゴに裏切ったという事でマーカスが殺された事がジョンの最後の戦いに結びつくのがいい。
ジョンの行動の目的は、クルマを盗み妻の形見である犬を殺したヴィゴの息子を倒す・・・というものであったけど、その殺害自体はあっさり終わってしまったのだが、それは息子が大した奴では無かったという事であろう。そして、ラストで戦うヴィゴは互いに銃を持たないとはいえジョンと渡り合えたのだが、そのあたりの息子との対比が面白い。
最初のシーンがヴィゴとの戦いを経て傷ついたジョンとなっていたのだが、最後にそのシーンに戻った後、傷の手当に忍び込んだ場所が子犬達の保管場所(?)であるのは唐突で出来すぎな気もするけど、その中の一匹に死んだ犬の首輪を付けて、一緒に歩いて帰るのであろうというシーンで終わるから、物語の救いとしてはいいのだと思えた。
それにしても、最初のジョンの家への襲撃シーンの後の展開、警察が騒音での迷惑で来たかと思えば騒動は承知のうえで引き上げるし、続けて廃品業者に扮した掃除屋が死体を片付けに来たりと、実にいいテンポで面白さと世界の描写が為されていた気がする。あの一連の流れで、それ以降の見方が決まった気はしている。