コードネーム U.N.C.L.E.

フォーラム5、評価★★★★
テレビドラマであった「0011 ナポレオン・ソロ」のリメイク作品。オリジナルは名前しか知らなかったけど、その前日譚となるものらしい。
オープニングから東西冷戦の状況を見せ、東ベルリンから始まる物語。CIAとKGBのエージェントが登場して原爆を巡る争いとか、正に'60年代という時代にふさわしいというもの。この作品、リメイクにあたって現代を舞台として翻案しなくて、本当に良かったと思える。あの時代でなければ、これだけ面白い雰囲気の作品にならなかっただろうというもの。
とにかく、ファッションやクルマを含めた雰囲気が緊張感はあるけど古き良き時代・・・という楽しさを見せていたと思う。そして、スパイ道具もハイテクでありながらも、たまには大仰でニヤリとさせられるもの。そんな雰囲気でありながらも、演出はガイ・リッチーらしいスピーディでスタイリッシュなものであるので、古さは感じさせない。
ストーリー展開は古典的であるものの、キャラクターの良さで引っ張ったという感も。でも、そのキャラクターこそが、この映画の面白さなのかなぁ、と。<以下核心メモ>
タイトルにある"U.N.C.L.E."という組織、その成り立ちの物語というか。ボスとなるのが、ヒュー・グラント演じるウェーバリー。イギリスの情報部トップが、CIAとKGBのエージェントが属する組織のボスというのは驚きの展開。2人と共に行動する女性のギャビーも東ベルリンにいながらイギリス情報部のエージェントであったりで。ギャビーのその立ち位置であるから、終盤で"裏切りか?"と感じさせるのだが、ちょっとありきたりな展開であったかも。まぁ、ヴィンチゲエラの下でウランの濃縮と原爆作りをさせられている、疎遠となった実父がいるから、救出ミッションの為・・・というドラマはあるのだけど。
クライマックスは原爆を持って漁船で逃亡したヴィクトリアを追った主人公達が、無線で位置を割り出して原爆と連携している爆弾を載せたミサイルを放って・・・という、なかなか豪快な決着ではあるのだけど、その無線のやりとりから時間を遡ってカットを見せる手法はガイ・リッチー監督ならではのテンポと爽快感。
ソロとイリヤの別れの時に、ソロが持っていた原爆のデータを記録したテープを巡って争うのかと思ったら、序盤でイリヤが奪われた父の思い出の腕時計をソロが取り返していたものを渡し決着。テープを燃やしながら2人でバルコニーにて酒を飲んでいるのがいい。そのテープの存在と奪い合いこそが東西冷戦の緊張感であり、それを燃やすという事と酒で緊張感のある関係が無くなったと見えるものだから。