男たちの大和

まず、実物大のセットを用いた大和艦上のシーンは見事。総員配置の訓練で階段を駆け上がる様子等は思った以上の迫力で。あと、機銃座が主な舞台となるわけだが、その運用法や弾薬装填などは興味深く見られた。
後半の見所、沖縄特攻での戦闘機との戦闘は、ただただ圧倒されるばかりで。でも、艦橋部のアップなんかには東映の佛田だなぁ、というやや軽い画面があったけど。
構成としては、現代の物語と戦時中の大和の物語が入り乱れるわけなのだが、なんか現代のほうがくどい感じがして好きにはなれなかったかと。やりたいことは判るんだけど、きっちり分けたほうが大和の物語をきっちり観られたとは思うんだけど。あと、状況を説明するための当時の記録映像とその文字による解説、アナウンサーによるナレーションが、ドキュメンタリーなのか映画なのかを曖昧にしていたのも残念。
それでも、戦争を通じた人間ドラマとしては間違いなく良作ではあったと思える。<以下核心メモ>
冒頭の、大和ミュージアムのシーンから始まるわけだが、なんか海の墓標委員会の活動宣伝と、悲劇の強調という意味しかないわけであったので、いきなり鹿児島から始まっても良かったと思える。やや、そのあたりで冒頭から白けたのは事実だし。
映画として、中心に据えたキャラの配置が見事で、物語の展開の広げつつ最後の大和沈没からその後の物語まで繰り広げているのは見事。内田の恋人と、神尾の幼馴染が「広島へ」というキーワードを行った途端見る側にはその後の悲劇が瞬時に想像されるわけだし、その内田の養子が生き残った神尾と共に大和の沈んだ海に行くという構図も重要な意味を持っているもので。そんな2人を繋げる役割の森脇のポジションも絶妙。
沈没後の物語で、生き残った神尾が西の母親に会いに行って、生き残ったシーンはただただ涙。これが時代の真実なのだろう。で、その神尾に対して「死んではいけない」と言う西の自母親の言葉が人間としての真実として、その対比がさらに響くものに。
最後の散骨のシーンでは、船に乗った少年には敬礼はして欲しくなかったなぁ。若い人の視点として重要な役どころなんだけどね。