崖の上のポニョ

テアトル1、評価★★★★☆
宮崎駿が人魚姫を自分流に料理した作品。作品の展開は実に素直。悪人の出ない物語は実に気持ちがいい。
少ないキャラクターという事もあって、それぞれの描き方は丁寧。リサがいい女だねぇー。少女の心を持った芯の強い女性は宮さんらしいか。あと、前評判の高かったフジモトは、所ジョージの抑え目の演技もあってカッコいい!
物語もそうだが、それ以上に宮崎駿がアニメらしいアニメを作った事は嬉しい。予告で見ていたクルマの動きだけではなく、キャラや周りのものが作画でこれだけ躍動的なのは久しぶりじゃないだろうか。
素直に楽しめるアニメーション映画の1本として素直に評価したい。<以下核心メモ>
オリジナルの人魚姫と異なり、ポニョは無事に宗介とのキスで人間になるわけで。しかも、金魚から人間までの間に第2形態…半魚人を介さない変身ということで、劇中の変身とは違うという事なんだろう。
しかしまぁ、第2形態のかわいくない事といったらもう、凄いもので。あと、ポニョの本当の名前がブリュンヒルデであったのも面白い。ただ、名前の付け方のくだりの安直さは、優しさなんだろうけども辛いものが。
ポニョが人間になって宗介のところに来た事で、街が海に沈んでしまうのだが、その様すら牧歌的でおかしい。まともに考えれば「日本沈没」レベルの大災害なのに。でも、立会人であったお婆さん達が、車椅子いらずの元気な姿になったのはひとつの奇跡なんだろうね。
船のドックへの引きこみや、乗れるまで大きくなった宗介のポンポン船なんかには、宮崎駿の好みが見て取れた。あと、器用なポニョの足にコナンを彷彿とした人も多いのでは。活躍しなかったけど。
華やかな表現で、短く終わったエンドロールも○。