K-20 怪人二十面相・伝

テアトル7、評価★★★★
北村想著の新たな二十面相の物語を映画化したもの。原作は未読。
ダークヒーローもの…とは言い過ぎかもしれないが、アクション作品としては想像以上の出来。
第二次世界大戦を回避した別の歴史という事で、その世界観の構築が面白い。その世界の構造が物語の別の柱になっているわけで。小道具も古いクルマは当然としても、オートジャイロまで出てくるとは。
物語としては、明智小五郎=仲村トオルと偽二十面相=金城武となるわけだが、その描き方は見事。予告で軽さが気になった金城武の演技も杞憂に終わった様で。更に、仲村トオルは一応男爵という事で落ち着いた演技がメインになるわけだが、その中で見せるコミカルな演技も納得のもの。あと、周りを固める国村隼以下の俳優陣の素晴らしさは言うまでも無く。
日本のオリジナルキャラクターを新しい視点で描いた映画として快作である、と言って構わないかと。<以下核心メモ>
前半から、二十面相の正体は鹿賀丈史演じる中年かと思わせておいて、実は明智小五郎自身がそうであったという展開が面白い。どちらかというと、小林少年のほうが胡散臭い感じだったんだけどね。
それでも、そこにたどりつくまでのシナリオの展開は無理があるものではなかったのでいいか。ただ、葉子の衣装屋の手が・・・って最後に出てきたくだりはちょっと後付っぽかったけどね。
あと、物語のキーとなるテスラ装置が羽柴ビルから出てくる・・・という展開は悪くないのだけど、あんなに大きいものがビルに仕込んであったら、階数とビルの高さでだれか気づきそうなものだと思ってしまうが。そこにたどり着くまでの絵に仕込まれた図と、パズルのキーはありがちだけど、物語には効果的に組み込まれていたか。