インビクタス 負けざる者たち

テアトル5、評価★★★☆
ラグビーワールドカップにて自国開催の南アフリカの戦いと、大統領となったネルソン・マンデラの姿を描いたもの。マンデラモーガン・フリーマンが演じ、クリント・イーストウッドが撮るという事で期待してしまう作品。
とは言っても、フィクションである事から物語の着地点が、"初出場での初優勝"と決まっているので、イーストウッドらしい"やや後味の悪いハッピーエンド"ではなくて、素直なハッピーエンドとなる物語に仕上がっていた。ただ、素直にマンデラ就任時の南アフリカの姿を描いており、その優勝に至るまでの道を描いているのでドラマとしての仕上がりは十分。ラグビーチームのキャプテンの目を通して、マンデラの30年弱の投獄生活を感じさせる事で、その大統領就任後の人種間の繋がりを作るという、思いへの流れはできていたか。
マンデラを演じたモーガン・フリーマンの雰囲気はなんとも言えない。今回は、制作にも携わって、監督にイーストウッドを推したとかで。
いつものイーストウッド節とは違うけど、テーマ性や闘いの描き方はらしいものになっていたかと。<以下核心メモ>
物語はワールドカップでの南アフリカの優勝で終わるのだが、その直前に当初は仲が悪かった黒人と白人の警護班のみんなが庭でラグビーに興じるのが印象的。特に、冒頭でマンデラの釈放を描くと共に、道路を挟んで黒人がサッカー、白人がラグビーをやっているという明確な構図を描いたという事もあって。
ラストシーンが、勝利に沸き立つ民衆の間で進まないクルマを、警護班が道を変えようとしたのを、「急いでないから」とそのまま進ませた表情には、一つの壁を越えた達成感の様なものは感じられて良かった。