ゴールデンスランバー

テアトル8、評価★★★★★
仙台を舞台に、首相暗殺犯として疑われた男の話。原作の小説は未読。
予告で見てた限り、ビートルズの曲”ゴールデンスランバー”が、謎解きのヒントになるものだと思っていたが、どちらかと言うと"きっかけ"やテーマの様なものとして扱っていたか。
そもそも、逃亡劇を扱いながらも、主人公の青柳らの学生時代の思い出も折り混ぜながらの人間劇となっていたというのが予想外。そんなわけで、逃走という緊張感の間に笑いが入るのが面白い。勿論、それが無意味なものではなく、物語に必要なものとして組み入れ、話を紡いでいく脚本は見事だったかと。それを、適材適所に配された俳優達が奏でる感じで。
首相暗殺という強烈なインパクトから入り、死という要素も入る物語だけど、観終わった後には心地好い印象が残る快作だったと思う。<以下核心メモ>
肝心の真犯人は青柳と同じに顔を整形してる…というものであったけど、結局その姿を見せずに死んだ事に。さらに、青柳を陥れたものの正体は明確にならずに結末を迎える事に。
そんな、サスペンスとしては消化不良な感じもしなくはないのだが、本筋が青柳の周りにいる人達との繋がりや信頼の物語となっているので、不満は無し。
むしろ、別の顔に変えた青柳が、心配してくれた人達に相応しい方法で安否を伝えるのに、笑って涙する。そして、晴子がエレベーターで一緒になったのを気づき、子供に「よくできました」のハンコを手に押す様に仕向けるシーンで幕を閉じる流れは良すぎる。ここで、一瞬だけ青柳が元の顔に戻るのも効果的だったな、と。