ラブリーボーン

テアトル3、評価★★★☆
14歳で殺された少女、スージーのその後の物語・・・という事で、予告の印象から彼女の天国での話しになるのかと思ったけど、実際には彼女を失った家族の揺らぎと結束を、スージーの視点をメインとして描いたもので。
ただ、スージーがいるのは天国ではなくて「天国とこの世の中間」というもので。その表現は、「LOTR」で腕を見せたピーター・ジャクソンとWETAが、また新たな表現を見せたもので見事。キレイなだけでなく、スージーの内面をも表すものとして、映像的な変化も見所かと。そして、その中間世界で死を受け入れられずに家族の元に、姿を現さずに存在を感じさせる表現等にも効果的に表れていたか。
そんな、ファンタジーだけかと思いきや、スージーを殺した男への追跡もドラマのもうひとつの軸となっていて、サスペンスの要素も持ち合わせていて、緊張溢れるもので。ただ、犯人の最期については、オカルトっぽすぎてどうも・・・。
1970年代という時代でありながらも、現代の犯罪を生々しく見る様で辛いところもあるけど、家族の話として素直な感動はあった物語だったと思う。ただ、劇中の月日の流れが大きいのに、それが細かな表現でしか無かった事は判りづらかった様な。
それにしても、パンフレットにあるピーター・ジャクソンの顔が、「LOTR」の頃と比べて精悍になって、オタク番長らしくなくなってるのが気になって・・・ww<以下核心メモ>
冒頭から、スージーを殺した犯人がMr.ハーヴィである事は明確なのだが、その殺した方法は表現されず。ただ、その死体の置き場が地下の金庫である事は明確になり、ラストで廃棄物の穴にその金庫が投げ捨てられるという展開は重く、気分が悪い。
ただ、その自らの亡骸がぞんざいに扱われる一方で、天国へ行く事を納得したスージーが、「やり残した事・・・」として、恋をしてキスまで至らず死に別れてしまったレイと、キスを重ねる・・・というシーンに繋がってるからいいのか。
それでも、Mr.ハーヴェイが逮捕されるのではなく、落ちてきたツララに気をとられた事で足を滑らせての転落死・・・というのは出来すぎで納得はできない。途中で、スージーのシーンでツララのイメージはあったけどね。
それでも、出て行った母親が戻ってきたり、妹が姉より確実に成長した姿を見せたりと、家族がスージーの死後も結果として確実にまとまって生きてる様で終わる結末はいいものであった。