ロリータ

未見の作品としてレンタル。1962年のキューブリック版のほうで。
サスペンス仕立てで始まる物語は、そこに至るまでの流れを描くという構成で。モノクロで描かれる世界が'60年代の華やかで雑多なアメリカを描いている・・・と思いきや、ロリータがビキニで白い肌を見せ登場するというギャップがいい。
ただ、思っていたよりもロリータを絡めてのエロティックな要素の物語・・・というよりはロリータに狂わされるハンバートの、その束縛せんとする激しさのほうが物語の軸になっていて、ドラマとしてサスペンスとして見応えはアリ。しかし、ロリータに近づく為に結婚した母親が事故で死んだ際に、友人や事故を起こした者の父がお悔やみに来たところで、当のランバートはバスタブに浸かったままで、軽快な音楽がバックに流れているのが、心情も的確に表しており妙に可笑しいもので。
ロリータを演じたスー・リオンは小悪魔的な・・・というより実に現代的で意志の見える演技をしていた。終盤でのロリータのたどりつく先での表情には、女性の強さも見せつけていたりと。
それにしても、'60年代の映画という事もあるだろうが、シーンの繋ぎにある暗転が唐突だったな。但し、それがサスペンスとしてのリズムを作っていたかと。
ロリータ [DVD]