借りぐらしのアリエッティ

テアトル8、評価★★★★
小人の少女アリエッティと人間の少年翔が出会う物語なのだが、冒頭の少年のナレーションからも2人が共にいる結末ではない事は明白な物語であり、上映時間の90分の間も大きな波もなく進む展開だけど、アニメーションの楽しさに溢れている作品となっていたので、素直に楽しむ事ができた。
何より、前半でのお父さんの"借り"での動きのカッコよさや、アリエッティの家の道具の使い方…すなわち人間の道具を流用している様子を描いた背景の密度に感心させられたりという感じで。その背景を見たときに、この作品をアニメで描いた意義の一端を見た気が。
ともかく、嫌味な展開が殆んどなく、思った以上に楽しめた映画ではあった。
それにしても、ハルさんは声を演じた樹木希林のモーションなんじゃないかと思うくらい動いていたな。<以下核心メモ>
祖母の父が小人を見たと言う事でその存在を信じており、小人達の為にドールハウスを用意していた・・・という展開になるのだが、そのドールハウスが展開の為にも"借り"というものを示すのにも、いい要素になっていた。まぁ、キッチンをあげるくだりの強引さは気にならなくもないが。
少し気になったのは、「滅びゆく種族」という言葉にて、昨今の絶滅している動物の事を重ねた説教くさいセリフがあった事か。展開も含めて必要な展開ではあっけど、床の下に過ごす小人に語る言葉としては不自然さは否めない様な…。
最後は別れで終えるのだが、ドールハウス冒頭からアリエッティの姿を見せてしまうきっかけになり、どちらかと言えば危険な存在でもあった、ネコが翔にアリエッティの旅立ちを知らせて最後の会話に繋がる・・・というのは展開の良さに少し涙腺が緩んだ。