アウトレイジ ビヨンド

テアトル8、評価★★★★
アウトレイジ」の続編となる北野武監督の作品。まさに続きという事で、前作で三浦友和演ずる加藤が仕切る山王会という状況に、今度は関西の花菱会も交えての複雑な状況に。
前作では指を詰める等のバイオレンス描写が表に立っていたけど、今回はどちらかといえば脚本で見せたものに。悪い奴等の思惑で、それぞれの間に不信が漂い物語が展開するという緊張感が。映画が進んでも着地点がどこになるのか判らないドキドキ感が続く展開は素直に面白かった。
しかし、これだけ"役者"を揃えたものだと。最近はいい人のイメージが強い西田敏行や、それに並ぶ塩見三省の悪人っぷりは強烈な印象を残すものに。そんな強面で味のある面子に振り回される山王会の若頭である石原を演じる加瀬亮の高い声がまた物語の中で強烈な印象となるもので。
エンドロールを見ていたら、高橋克典の名前があって「?」となったら、やはり花菱会のヒットマンだったのか。なんか目立つ顔の人がいるなぁ…とは思ってたけど台詞も無かったから、そうとは思わなかったw
とにかく男しかいない、怒号と暴力と企みばかりで、正直なところ気持ちのいいものではない。ただ、そんな世界こそが、監督の描きたかった「和製ギャング映画」なんだろう、というの直球で伝わるようなものであったと思える。<以下核心メモ>
小日向文世演ずるマル暴の刑事である片岡が、やたら出番が多くて狂言まわしとして動いてるなぁ…と観ていたら、会長を引退させられた加藤を刺した大友が、その後の混乱で殺された木村の葬式の際に片岡を撃ち殺すシーンで締めくくるとは意外であった。しかも、大友を陥れようとしたのか、貸した拳銃で。逆に、そんなシーンを最後に持ってきた事で、他に残った事象の結末は観ているものに委ねたのかなぁ、とか。
狂言まわしという点で考えるのであれば、花菱会の会長と若頭がその立ち位置だったのかな、と。何せ、この映画の中では、関東進出という利を得たわけだし。
加藤に関しては、先代殺しの話から引退させられ、おとなしくパチンコしているところを大友に刺され…という、まぁ映画的には真っ当な殺され方だったか。
酷かったのは、石原か。かつて裏切った大友と優位に話すつもりが、部下を殺され大友に土下座したのに、「野球しようか」と言われピッチングマシーンの球を顔に当たられて死ぬという無残さ。バッティングセンターを舞台に使用したとはいえ、こんな悪趣味な刑を思い付くとは流石…と言っていいものなのかね?ww