G.I.ジェーン

未見の作品としてレンタル。
デミ・ムーアが坊主になっているビジュアルは知っていたけど、中盤までは長い髪が印象的なスタイル。坊主のスタイルになる事は、物語の必然として描かれており、バリカンで頭を刈るシーンの決意の眼差しの強さや美しさは、よく撮ったものだと思うもので。
タイトルから、リドリー・スコット監督作品といえども色物のアメリカ軍万歳な映画かと思っていたのだが、女性への性差別や、それからに沿う形での黒人へ差別、そしてオニールが特殊部隊の訓練を受けるきっかけになった女性上院議員と軍上層部との思惑が描かれるというドラマも見ごたえがあるもので。
そして、送り込んだオニールが脱落するだろうと思われた特殊部隊の訓練は、壮絶そのもの。特にはじめの一週間の厳しさを示すものとして、昼食が食べられる筈の無い時間で出されそのままゴミ箱に入っていったものを、晩飯としてゴミ箱のバケツから取らされるという非人間的な扱いには流石にクラクラする。勿論、極限状態で生き残る兵士の選抜という意味もあれば納得なのだけど、あの中にはいたくないというのが出てくる感想。リタイアするものが三度鳴らす鐘が印象的。
その後、上院議員の駆け引きで潰されそうになり訓練を挫折させられそうになりながらも、なんとか最後の訓練までオニールはたどり着くのだけど、最後はスコット監督らしく実戦での救出作戦に転じアクションとして盛り上がる。ここで、冒頭でのオニールの分析能力の高さや、訓練を通じての仲間たちの繋がり、そして「女性ではいざという時に仲間を助けられない」と言っていた教官への回答等、実にいい終り方になっているので、見終わった後は気持がいい。
途中に挟まれる、オニールを演じたデミ・ムーアのトレーニングシーンでの肉体の美しさを見るだけでも十分な価値はあると思える。
G.I.ジェーン [DVD]