パシフィック・リム

テアトル3、評価★★★★☆
怪獣の出現に巨大ロボットに立ち向かうという映画。
本来バカバカしい話を実写でやれば尚更バカバカしくなるのに、というものを本気で取り組んだのは怪獣等が大好きなギレルモ・デル・トロ監督。すごいシンプルな展開でありながら、圧倒的な愛で仕上げてきた映画なんだ、とひしひしと感じる。そんなリスペクトだけで、且つ多国籍なキャラクターが設定されつつも、思った以上にはアメリカ的な映画の雰囲気も強かったのが逆に驚きというか。
劇中でも"KAIJU"と表記される怪獣が、これまでの「GODZILLA」や「クローバーフィールド」の様な新生物では無く、怪獣らしい存在なのが嬉しい。CGキャラクターでありながらも、まるで着ぐるみの様なスタイル*1や動きを持っているのが観ていて実に楽しかった。世界の各都市に出現し、高層建築が輝く夜の香港*2でのバトルというのはポイントが高い。
ロボットの表現は、冒頭でのジプシー・デンジャー出撃シーンでかなりお腹いっぱいというかw最終的に登場するロボットは少ないのだけど、それ故に個々の特性が少ない時間でも判るいい流れになっていたと思う。ロボットの演出では、いちいち突っ込みたくなるところがあるのも愛なんだろうなw
物語は、地球の存亡をかけた最後の決戦という展開で王道と言うべきか。滅茶苦茶と思われる2人の操縦者や操縦方式、そして怪獣の存在を上手く組み合わせた無駄の無い、面白いものに仕上がっていたというわけで。それぞれの登場人物もいいけど、菊池凛子演じる森マコの戦闘服姿は良すぎる。
今回は吹替え版で見たけれど、そのストレートな展開や動きを楽しむのにも、これは吹替えで観て正解というか。とにかく、司令官の声だけでも完全に安心して観られた感は強い。<以下核心メモ>
怪獣は、別次元から海溝の底にある時空の裂け目からやってくるというもので、別次元人の尖兵として送られるという設定がちゃんとあるもの。それ故に、その裂け目を潰して道を閉ざそうとするのが最後の戦いに。
それを知る事ができたのが、イェーガーの操縦システムで2人のパイロットをリンクするドリフトを応用して、怪獣狂いの科学者が怪獣の脳とドリフトでリンクさせて…という展開。この辺りで、映画としてのシナリオはちゃんとまとめられているものだ、と。その科学者は、怪獣狂いと数字に拘る変人の2人が登場するのだが、単に賑やかしと思われた彼等がちゃんと活躍するのはゲッターあたりの博士を彷彿とさせるというか。吹替えの掛け合いも楽しいんだよね。
電磁波攻撃で他のイェーガーや基地が止まった時に、「核動力だから問題ない」と出て行ったジプシー・デンジャーにはジャイアントロボか、とツッコミを入れずにはいられなかった。その核動力が、クライマックスで本来はストライカー・エウレカが持ち裂け目に叩き込む核弾頭の変わりに爆発したりもするのだから、便利というかカッコいいというか。
芦田愛菜がどこで出てくるのか疑問だったけど、幼い森マコとして。その時にイェーガーに乗っていたせいで病を患った長官、その長官に育てられたマコ、長官とパイロットのハークの繋がり、そしてハークとベケットの繋がり…と、世界を救う話だけどもコンパクトな人物相関で作られた物語もシンプルで十分に面白くなっていた要素かも。

*1:それでも、着ぐるみでは無理な脚のまとめ方はポイントが高い

*2:どうしても、「ゴジラvsデストロイヤ」のワンシーンを髣髴としてしまうのは仕方が無い