先日、三春町に設立されるとのニュースが有ったアニメーションスタジオの"福島ガイナックス"。
その設立記念として「春の文化祭」というイベントが開催。そこで、スタジオに併設されたミュージアムもオープン記念という事で無料開放されるとの事で、観に行ってきた。
元は小学校の建物。昇降口とかに、学校らしい雰囲気を残した建物でアニメスタジオとしてはどう使うのかなぁー、とは疑問には思う。
まぁ、今回はミュージアム部分なので、学校らしい開放感が生きている気が。教室なんかを利用しているとはいえ、照明等に手を入れている感じで、今後の使い方が楽しみにはなる。
学校のルールに従い、昇降口からは土足厳禁で、スリッパ持参で行った。
まずは原画の展示コーナーが。
今回はイベントで「天元突破グレンラガン」の劇場版が上映される事もあってか、「グレンラガン」の原画が展示されていた。
原紙ではなくコピーでの展示ではあったけど、カット毎にまとめて展示されているので、その流れというか、どういう形で原画が描かれているのかが判るのが面白い。爆発だけの原画がちゃんと入っていたりね。
大判原画は額装されて、そのまま展示。前期OPのヨーコの絵は1枚絵で見ると、更にカワイイなぁ。
数枚は劇場版のサイズが違う原画も展示。こちらも原紙での展示の様で。
こういう指示の生々しさに触れられるのも、原画の展示ならではの面白さ。
カットで原画が並ぶ展示を見ていて、パラパラと見て原画がどう繋がるのか判るものがあればいいのに・・・と思ったら、別の展示で出来るものがあった。後は、対象のシーンを比較する映像も展示してあれば、アニメーションに慣れていない人にも判りやすいのかも、とは思ったが仕組みとかが面倒なのだろうね。
一応、企画展示という事になるのか「ガイナックス流アニメ作法」として、アニメ作品が作られる過程を示した展示が。
まずは入り口に、山賀博之さんの挨拶文が。
この展示のプロデュースは赤井孝美さんなのね。
アニメ作りのビジュアル的な事だけの展示かと思っていたが、企画段階の話からで、放送はおろか実際の作業開始まで長い準備期間がある事が語られていたり。
そして、制作にかかるお金や、関係する所への分配の話まであったりと、意外にシビアなところまで紹介されているのには感心と驚き。この辺りは、地元に対して判り難いアニメ制作会社というものを説明する為のプレゼンテーションの役割もあるんじゃないかと思ってしまうもので。
色々な作業過程についての説明が、使用しているものや、作業している机の再現で展示。これは監督の机らしい。
タイムシートとかが唐突に置かれているのだが、これも順を追って見ていくとひとまず解説はある。ただ、その解説の字が小さすぎて読むのというか、解説として認識しづらいのは残念なポイント。
そういや、各担当の人物パネルには吹出しでセリフが入っているのだけど、それが裏表にあるのが面白いw
中には、さっきのパラパラ見られる原画サンプルや絵コンテ等の、手に取って見られる資料もあって面白い。
そんな中で、あまりにも生々しくて驚いたのは動画担当への注意の資料。「これは常識的な基本じゃないの?」という事から、アニメの絵を描いていくうえでの注意事項を描かれているもの。これに則れば、シンプルなリテイクとかは無さそうな気もするのだが…。
彩色のところには、今では使わなくなったセル彩色用の塗料が参考として。
ミュージアムという事で、セル画の展示も。セルを使っていた時代のカット袋との一式や、セルに行った特殊効果等の職人技もちゃんと解説されていて抜かり無い。
そして、圧倒的な存在感で展示されていたのが、フィルムの編集器とビューワー。これで、手作業でやっていたんだよなぁ。
一緒に、16mmのフィルムも展示。こうやって見ると小さいコマなんだよな。
「SHIROBAKO」で有名になった(?)、制作進行とかの説明とかもあって、一連の展示が終わり。
実に面白い展示ではあるのだけど、やはりアニメーションというものに触れていない人には判りづらい展示なのじゃないかと思えるもので。あと、近隣の学校から見学とかに来ても、小さい子には伝わり難い様な。実際に小学生らしい集団が、漢字が読めない・・・とか行っていたからなぁ。
ガイナックスが手がけた作品のパネルが展示された小部屋もあったけど、ちょっと半端な気もしたのは正直なところ。
あと、アニメーションから繋がるものとしてフィギュアの紹介も。ここはガイナックスに限らずに、日本のフィギュア文化というものを紹介する意味で、色々な作品やメーカーが入り乱れた不思議な空間になっていた。
自分としては面白い展示で、折を見て行きたいとは思うものだけど、やはり判り易さ・・・という点は少し気になった。まぁ、そこはこれから通常営業になった時に変わっていくところでしょう。
今回はイベントという事で、体育館で行われていたグレンラガン出演者のトークショー、そしてガイナックスにとって久しぶりのオリジナル作品である「放課後のプレアデス」のテレビ版1,2話の先行上映&トークショーも楽しんだ。体育館という事で壇上に巨大LEDモニターを設置しての上映だったせいで、前の人が邪魔で下端が見えなかったけど、それは仕方が無い事だよね。
ただ、トークショーと上映を楽しんだ事で、露店や他の協賛イベントをちゃんと見られなかったのは残念。
そうは言っても、三春町とのタッグを組んだ様な運営を含め、これから福島ガイナックスが地元の企業として根付いてくれるんじゃないか・・・という期待を感じさせるイベントでしたよ。
そういや、開店祝・・・じゃなくて開設祝という事で、お祝いの花も沢山来てたね。
あと、アニメ制作過程展示にあった、このナディアが気になって。