キャプテン・アメリカ シビル・ウォー

フォーラム5、評価★★★★★
MCU作品の新作であり、キャプテン・アメリカの単独映画でもありながら同名コミックスがある事で俄然期待が高まっていた一本。その期待に違わず、今までのMCU作品の流れを受けつつ魅力的にヒーロー達を描いていた。そして、単独作品らしく見事にキャップの映画になっていたという完成度には嬉しくなるばかり。
これまでのアベンジャーズの活躍によって発生していた被害に、冒頭のシークエンスで発生した事故によってアベンジャーズが国連の管理下に入るか否かという発端から始まる物語は、広がっているコミックとは別に実写映画ならではの世界観に成り立っているMCUを踏まえると納得。
オープニングシーンから登場するウィンター・ソルジャーが重要な立ち位置となるのだけど、アベンジャーズとしてキャップとの友情があっても意見の対立するアイアンマンとの、それぞれの関係性が重要なドラマになっていた。シンプルな対立ではなく、これまでMCU作品で描かれてきた戦後から現代までの時代を跨ぐ要素を、上手く且つドラマチックに纏め上げた展開には唸るばかり。悲劇的な展開ではあるのだけど、物語としての必然というか。
男達の友情が軸となる物語であったのだけど、キャップとエージェント13の関係は素敵に描かれていたと思う。「WS」で男女間での友情という描かれ方をしたキャップとブラックウィドウの関係と対比させる形で昇華させた様にも感じられたのだが。
ドラマとしては勿論だけど、ヒーロー集合映画としての面白さも十分。それぞれのキャラクターがそれぞれの持ち味を存分に見せてくれて満足。予告の印象でどういう状況なのだろうと不安もあった空港での対峙も必然からの流れであり、更に空港という大きな空間とビルが併設するステージでのヒーロー同士の本気のぶつかりあいというのは見応え十分。アントマンの活躍ぶりは期待以上であったし、スパイダーマンもゲストと言うにはサービス満点の活躍で単独映画が楽しみになったりも。<以下核心メモ>
ヒーロー達の対立の裏にあったのが、ソコヴィアの事件で家族を失ったジモの暗躍。ウィンターソルジャーを悪人に仕立ててヒーロー達の対立を画策していたのだが、あくまで普通の人であるというところがある意味怖いかも。空港での戦いにケリがつき、国連襲撃犯がWSでは無い事を知ったトニー・スタークが単独でキャップとWSを助けに行った先でジモが更なる手を。冒頭からWSが自動車を襲撃し薬品を奪った映像が出てくるのだが、それがトニーの両親の車でありWSが直接手をかけた事実が3人の前に映像で明かされるという。トニーの登場シーンが、両親が死ぬ直前の想い出の状況ではあったけど、こういう感じに繋がったかと思うばかりで。そこからのWS&キャップ対アイアンマンの戦いは壮絶というばかり。リアクターを壊され敗れたトニーが、父がスティーブに与えた盾を置いていけと叫ぶシーンは実に悲しい。
序盤でポイントと思えたのが、ソコヴィア協定の話が出た直後に報せがあった、ペギー・カーターの葬儀。親戚であったシャロンから語られるペギーの言葉はスティーブには道標になったという気が。そこから距離を近づけたスティーブとシャロンのキスシーンは印象的。慌しい別れの中でのペギーのキスとも、演技としてのナターシャとのキスとも違う、穏やかで自然なキスには既に現代で生きる事での戸惑いが無くなったスティーブの姿なのかなぁ、とも思ったり。まぁ、このシーンはそれを見ていたサムとバッキーの反応がこれまたいいのだけど。
スパイダーマンの登場は、ゲストとしてひょっこりその場に現れるのかと思っていたのだが、街での活躍を知っていたトニーがピーターとメイおばさんが暮らすアパートを訪れて勧誘するという事でしっかり描かれていて驚いた。手製のスーツで活躍していたスパイダーマンが、トニーの力による新スーツを着て戦うという流れであるだが、ある意味新しいスパイダーマンの誕生エピソードを描いてしまったというか。今度の映画では蜘蛛に刺されるシーンは無いと聞いていたが、こういう形でオリジンが描かれるとは思わなかった。単独作品でのトニーの出演も決まっているのだが、コミックス等を踏まえてもピーターとトニーの関係は好きだ。
一方、今までトニーの脇にいたローズが空港での戦いにて墜落し、補助具を付けなければ歩けない状態になっていたのはショックであった。今後のシリーズでローズの登場があるのかは気になるところ。