インフェルノ

フォーラム5、評価★★★
ラングドン教授の物語の3本目。「天使と悪魔」以上に過去からの因縁とか野望というよりは、現代的な犯罪に巻き込まれたという印象の物語。序盤で教授の記憶が欠落しているという状況から始まる事でのミステリー要素はあるのだけど、なんかそれを映像的に表現する事で引っ張ってしまっている印象。記憶が安定し、謎解きをちゃんとこなしていくあたりから面白くなっていたのだから、その感覚は間違いでは内のだと思う。
勿論、その記憶の曖昧さから始まる物語故に、いくつもの組織や個人の思惑が絡んでいる様の全体が観客にも明示されない状態なので面白いのだけど。
後半の展開は"そういう事か"となるのだけど、その展開が途中で描かれていたのか判らなかったというか覚えが無かったのはなんとも言えないのではあるが。<以下核心メモ>
冒頭のシーンで追い詰められて自殺する、ウィルスでの大量殺人の首謀者であるゾブリスト。ラングドン教授を助けていた医師のシエナが、ゾブリストの彼女であり意思を引き継ぐものであったのだけど、フィレンツェで教授を置き去りにするまでにその要素ヶ描かれていたのか、完全に見落としていたのかはなんとも言えない。教授が入院していた部屋に、本来ならある筈の無い鍵があったり、そもそも教授が入院する事になった偽の傷と記憶障害はゾブリストからの依頼を受けていたシムズらが仕組んだ事ではあったのだけど、そのくだりの解説だけだったのかなんとも。
冒頭から教授を追いかけていたのがWHOという事で不思議な感じではあったのだけど、あくまでもウィルスによるテロを警戒してという事であれば妥当なのか。肝心のウィルスは闘いの末に拡散せずに封じ込める事は出来たのだけど、その脅威を少しも描かなかったのは、強力である事を示唆するものだったからなのか。
若いヒロインではなく、過去に想いがあったWHOのエリザベスがヒロインであったという展開は良かったか。勿論、ここにも記憶の混同があって観ている側には2人の過去の経緯が見えていないという事もあっての事だけど。