平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦feat.スーパー戦隊

テアトル7、評価★★☆
既に恒例となりつつあるライダーの全員集合映画。今回は平成ライダー昭和ライダーの対決が売りになる物語。
バダンを登場させ地下からの侵略という軸に、シュウという少年を絡めての物語。そこに、昭和は本郷猛に神敬介に村雨涼、平成は乾巧に左翔太郎に門矢士がオリジナルキャストで登場するという盛りだくさんな内容。
が、その盛りだくさんな内容が災いし、どこに焦点が合ってるのか曖昧な物語に。個々の要素は面白いのだが、それが気持ちよく一本に繋がってる感が無く、「いつ終わるのだろう」と思いながら見ていたのは確か。ゲストで登場したキョウリュウレッドやトッキュウジャーも蛇足以外の何物でも無いというか。乾巧と神敬介のドラマは濃密で面白く、この雰囲気が続けば…と思ったもの。
そんな物語でも、オリジナルキャストが登場した事でのカッコよさはいっぱい。今までの大集合映画で無かった、現代風にアップデートされた1号やXの変身シーンはカッコよく美しい。平成ではBLACKとRXに向かってジョーカーに変身する翔太郎のカッコよさには素直に痺れた。そして、士というかディケイドの存在感と物語の牽引力は素晴らしい。今回は、子供に見せる優しさというのも、カッコよさに繋がってるわけで。他にも、ライダー達らしいカッコよさに溢れたシーンは多かった。バダン首領の声も素晴らしかったな。
そんなわけで、映画としては酷かったけど、仮面ライダーのカッコよさには溢れているという不思議な1本だった。
今回は"VSでも決着を付けます"と言って、昭和ライダー平成ライダーのどちらが勝つかネットでの投票の結果で決める…としてたけど、あの構成なら映画の筋に関係無くどうとでも出来るよなぁ…と感心するよりも呆れた。<以下核心メモ>
記憶を無くし、裏返す力を持ってしまったシュウは、仕事ばかりで約束を守ってくれない事が多い母親と喧嘩したままで交通事故で死んでおり、その母子の物語が軸に。そして、その裏返しの力を地価帝国の地上への進出に利用としたのがバダンという。そのバダンに組していたフィフティーンの正体がシュウの父親という設定も絡めでドラマとして盛り上がる要素は満載なのに、寄り道が多くてもうひとつ盛り上がりに欠けるというか。多分、シュウに絡むのライダーが鎧武とディケイドの2人で、それぞれの接し方になっていたのが散漫に感じた理由なのではないかと。灯台で、消えるシュウを抱く父と母の絵を見ると、物語の軸として間違っていたというわけでは無いのだけど。
平成ライダー昭和ライダーの諍いは、バダンを欺く為の戦いとしてあったわけだが、この展開は先の大集合映画でも使っていたので、またかというところ。子供向けの映画という割り切りがあったにしても安直過ぎる様な。ライダーそれぞれのエピソードを踏まえると、本郷猛の存在が寧ろ邪魔になってる気がした。まぁ、このあたりはプロットから出演者を踏まえての脚本にするあたりでの苦労というのが、かなり窺えるのだが…。
そして、"決着をつける"と言った平成ライダー昭和ライダーの対決。本筋が終ったところで、ボーナストラックの如き時間に無理矢理戦いをするというものだった。これならばどうとでもなる。結局、1号と鎧武の戦いの中で、背後の花を守る為に攻撃を受けた鎧武の姿に感動した1号が負けを認め、全体の戦いが終るという、いい話だけど決着した感が無いがなんとも。でも、この後の海岸で夕陽に向かうライダー達のショットは、ライダー集合映画の中でも屈指の名シーンに仕上がってると思う。そこから続く、エンディング初めのライダー達を捉えた空撮シーンも含めて。